おもろさうし/第十八

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おもろさうし  (1623) 
第十八
首里天きやすへあんじおそいがなし 志ま中おもろ御さうし 天啓三年癸亥三月七日

首里天ぎやすへあんじおそいがなし しま中おもろ御さうし 天啓三年癸亥三月七日 第十八

さんことよたしが節[edit]

18-1249(1)

一宮城金子/良かる金子/金子に こいや/又稲福に 上て/てだが前 上て/又鉄冑 こいや/鉄鎧 こいや/又吾が弟者の 三人/吾が弟者の 四人

一みやくすくこかねし/ゆかるこかねし/こかねしに こいや/又ゑなふくに のほて/てたかまへ のほて/又かなかふと こいや/かなよろい こいや/又あかおとちやの 三人/あかおとちやの 四人

みやぐすくこがねしが節[edit]

18-1250(2)

一さんこ鳴響た子/良かる鳴響た子/てだ清ら勝るてだ/又大たうの前に おとち/こいつめや てだ清ら/又稲福の端/寄り立ちの端

一さんことゆたし/ゆかるとよたし/てたきよらまさるてた/又大たうのまへに おとち/こいつめや てたきよら/又ゑなふくのはんた/よりたちのはんた

あさとおきておやみかまの節[edit]

18-1251(3)

一稲福の世勝り/げらへて ちよわちへ/見揚がり 誇りよわちへ/又国の根の世勝り

一ゑなふくの世まさり/けらへて ちよわちへ/みやかり ほこりよわちへ/又くにのねの世まさり

うらおそいおもろの節[edit]

18-1252(4)

一高川の水は/寄越す物やてや/ぬき上げ水/掻い撫で水 為まし/又親川の水は/寄越す

一たかかわのみつは/よこす物やてや/ぬきやけみつ/かいなてみつ せまし/又おやかわのみつは/よこす

きこへきみがなしおそてそろへわちへが節[edit]

18-1253(5)

一大城 おわる/世掛けにせ按司の/御駄連れが 見物/又国の根に おわる/又糸数の 使い/根国の 使い

一大くすく おわる/世かけにせあちの/みちやつれか み物/又くにのねに おわる/又いとかすの つかい/ねくにの つかい

あおりやへが節[edit]

18-1254(6)

一大城親軍/大国鳴響み軍/見ちへど 見あぐも/又国の根の親軍

一大くすくおやいくさ/ちやくにとよみいくさ/みちへと みあくも/又くにのねのおやいくさ

あおりやへが節[edit]

18-1255(7)

一聞へ大城/見揚がる門 建てゝ/しけち 持ち寄せて/又鳴響む大城

一きこへ大くすく/みあかるちやう たてゝ/しけち もちよせて/又とよむ大くすく

わなのおもやこが節[edit]

18-1256(8)

一おた子なつらしや/あさと 撓て かなて/按司に 思われゝ/又わなの新貢/又百名初貢/あさと 撓て かなて

一おたこなつらしや/あさと しなて かなて/あんしに おもわれゝ/又わなのあらかない/又ひやくなはつかない/あさと しなて かなて

いつかなつたゝしよが節[edit]

18-1257(9)

一百名わ 浦南風 吹けば/煽りやへ 成さ 守りよわちへ/又我が浦は 浦南風 吹けば/又おれづむ 煙やが 立てば

一ひやくなわ うらはゑ ふけは/あおりやへ なさ まふりよわちへ/又わかうらは うらはへ ふけは/又おれつむ けもりやか たては

うらしろたちよい節[edit]

18-1258(10)

一百名 浦白 吹けば/うらと 若君 使い/又我が浦は 浦白 吹けば/又手数は 蒲葵花 咲き居ら/又掻ひ遣るは 波花 咲き居ら

一ひやくな うらしろ ふけは/うらと わかきみ つかい/又わかうらは うらしろ ふけは/又てかすは こははな さきよら/又かひやるは なみはな さきよら

中ぐすくおもろの節[edit]

18-1259(11)

一わなの思や子が/見遣り欲しや/百名の寄せ杜加那志/又わなのまちやり子が/又嘉津宇嶽 上て/見遣り欲しや

一わなのおもやこか/みやりほしや/ひやくなのよせもいかなし/又わなのまちやりこか/又かつおたけ のほて/みやりほしや

ひやくなからのぼてが節[edit]

18-1260(12)

一百名から 上て/根国から 上て/島 揃て/十百末 みおやせ/又首里杜 ちよわる/おぎやか思い加那志

一ひやくなから のほて/ねくにから のほて/しま そろて/ともゝすゑ みおやせ/又しよりもり ちよわる/おきやかもいかなし

ひやくなからのぼてが節[edit]

18-1261(13)

一百名から かねて/連れる 連れ 連れて/果報首里親国/又崎枝から かねて

一ひやくなから かねて/つれる つれ つれて/かほうおしよりおやくに/又さきよたから かねて

たくしたらなづけが節[edit]

18-1262(14)

一玉城 おわる/島の主てだ/十百度の報廻り しよわちへ/又国の根に おわる/又今日の良かる日に

一たまくすく おわる/しまのぬしてた/ともゝとのふまわり しよわちへ/又くにのねに おわる/又けおの世かるひに

こいしのがさしふとのばらの節[edit]

18-1263(15)

一玉城杜ぐすく/今こより/百度世す ちよわれ/又貴み人に 浮雲に

一たまくすくもりくすく/いみやこより/もゝと世す ちよわれ/又たゝみきよに おきよくむに

かつれんはいきやるかつれんが節[edit]

18-1264(16)

一天頂は 雨たもす 漏らね/天頂は あいつまは いきやかせ/又天頂は くれたもす 漏らね

一あまつゝは あめたもす むらね/あまつゝは あいつまは いきやかせ/又あまつゝは くれたもす むらね

たくしたらなづけが節[edit]

18-1265(17)

一玉城 おわる/意地気清らてだよ/此世 掛け詰めて ちよわれ/又国の根に おわる/意地気清らてだ

一たまくすく おわる/いちへききよらてたよ/此世 かけつめて ちよわれ/又くにのねに おわる/いちへききよらてた

こいしのがさしふとのばらが節[edit]

18-1266(18)

一雲子杜/真玉杜ぐすく/大君に 知られゝ/又御宣り人が さしふ/神にしやが むつき/又あかべとり せゝと/まむがとり せゝと

一くむこもり/またまもりくすく/大きみに しられゝ/又みちゑりきよか さしふ/かみにしやか むつき/又あかへとり せゝと/まむかとり せゝと

あおりやへが節[edit]

18-1267(19)

一おぎやか子ぎや おもろ/筑紫ちやら おぼゑて/玉珈玻㼈/報国寄せぐすく/又おぎやか子ぎや 宣るむ

一おきやかしきや おもろ/つくしちやら おほゑて/玉かはら/ふうくによせくすく/又おきやかしきや せるむ

こいしのが節[edit]

18-1268(20)

一雲子杜/真玉杜ぐすく/金加那志/君誇り げらへて/又百名内に/選でおちやる 真人/又崎枝内に/そゝておちやる 真人

一くむこもり/またまもりくすく/かねかなし/きみほこり けらへて/又ひやくなうちに/ゑらておちやる ま人/又さきよたうちに/そゝておちやる ま人

あおりやへが節[edit]

18-1269(21)

一雲子杜ぐすく/おわもりは 手摩て/世勝る拍子/打ちちへ みおやせ/又真玉杜ぐすく/又聞へ吾が成さ人

一くむこもりくすく/おわもりは てつて/世まさるひやし/うちちへ みおやせ/又またまもりくすく/又きこへあかなさきよ

あおりやへが節[edit]

18-1270(22)

一聞へおわもりぎや/雲子杜 降れわちへ/銀 金/もちろきゆる 清らや/又鳴響むおわもりぎや/又綾のてだは さだけて

一きこへおわもりきや/くむこもり おれわちへ/なむちや こかね/もちろきゆる きよらや/又とよむおわもりきや/又あやのてたは さたけて

あおりやへが節[edit]

18-1271(23)

一聞ゑ綾の天ぎや/精の拍子/珍ら拍子 みおやせ/又鳴響む綾の天ぎや/又雲子杜 降れわちへ

一きこゑあやのてにきや/すへのひやし/めつらひやし みおやせ/又とよむあやのてにきや/又くむこもり おれわちへ

あおりやへが節[edit]

18-1272(24)

一聞へ綾の天ぎや/雲子杜 降れわちへ/精の拍子/珍ら拍子 みおやせ/又鳴響む綾の天が/又成さ人思いが み御前

一きこへあやの天きや/くむこもり おれわちへ/すへのひやし/めつらひやし みおやせ/又とよむあやの天が/又なさきよもいか み御まへ

あおりやへが節[edit]

18-1273(25)

一よたい人が おもろ/筑紫ちやら おぼへて/げらへて 十百度 ちよわちへ/又おぎやか子ぎや おもろ/又聞ゑ玉城

一よたいきよか おもろ/つくしちやら おほへて/けらへて ともゝと ちよわちへ/又おきやかしきや おもろ/又きこゑたまくすく

[edit]

18-1274(26)

一屋嘉部のろ/けはやのろ/せくたち/立ちよわる 鳴響み/又たけこらが/神にしやが せくたち

一やかふのろ/けはやのろ/せくたち/たちよわる とよみ/又たけこらか/かみにしやか せくたち

中ぐすくおもろの節[edit]

18-1275(27)

一糸数に おわる てだ/伊祖のてだ 見ちゑ/道 廻て/又屋嘉部かち 歩む てだ

一いとかすに おわる てた/ゑそのてた みちゑ/みち まわて/又やかふかち あよむ てた

うちいでは大ざとのてだの節[edit]

18-1276(28)

一糸数てだよ/按司添いてだよ/歓へて 輝ちよわれ/又今日の良かる日に/又今日のきやかる日に/又浦崎に 使い/我那覇に 使い

一いとかすてたよ/あんしおそいてたよ/あまへて かかちよわれ/又けおの世かるひに/又けおのきやかるひに/又うらさきに つかい/かなはに つかい

うちいでは大ざとのてだの節[edit]

18-1277(29)

一糸数てだ/按司添いてだよ/世添わる拍子/打ちちへ みおやせ/又今日の良かる日に/今日のきやかる日に/又くらまる 持たちへ/みとろは 持たちへ/又渡さば 渡せ/下さば 下せ

一いとかすてた/あんしおそいてたよ/世そわるひやし/うちちへ みおやせ/又けおの世かるひに/けおのきやかるひに/又くらまる もたちへ/みとろは もたちへ/又わたさは わたせ/くたさは くたせ

うちいではあがるゑとの節[edit]

18-1278(30)

一知念 おわる 若人/やぐめさよ/ふなこし こまらや/又崎に おわる 若人

一ちゑねん おわる わかきよ/やくめさよ/ふなこし こまらや/又さきに おわる わかきよ

おもろねやがりがひやくさが節[edit]

18-1279(31)

一せしきよ金ぐすく/良かる金ぐすく/思揚げのぐすく/てだが 誇りよわちへ/又糸数の根国/玉城真国

一せしきよかなくすく/ゆかるかなくすく/おもやけのくすく/てたか ほこりよわちへ/又いとかすのねくに/たまくすくまくに

おもやけのぐすくの節[edit]

18-1280(32)

一せしきよ金ぐすく/良かる金ぐすく/玉寄せぐすく/てだす 世わ ちよわれ/又糸数の根国/玉城真国

一せしきよかなくすく/世かるかなくすく/玉よせくすく/てたす 世わ ちよわれ/又いとかすのねくに/たまくすくまくに