おもろさうし/第十九

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おもろさうし  (1623) 
第十九
ちゑねんさしきはなぐすくおもろ御さうし 天啓三年癸亥三月七日

ちゑねんさしきはな ぐすくおもろ御さうし 尚豊王み代 天啓三年癸亥三月七日 第十九

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1281(1)

一佐敷意地気按司に/にら人は/此れど 肝あぐみてだ/又佐敷大国按司に

一さしきいちへきあちに/にら人は/これと きむあくみてた/又さしきちやくにあちに

うらおそいのおやのろの節[edit]

19-1282(2)

一佐敷意地気按司の/世添うお杜に/世添わる国局 ちよわれ/又佐敷大国按司の

一さしきいちゑきあちの/世おそうおもりに/よそわるくにつほに ちよわれ/又さしきちやくにあちの

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1283(3)

一真声子が おもろ/肝たるににせ按司/報国 揃ゑて みおやせ/又佐敷意地気按司の/又佐敷大国按司の

一まこゑしか おもろ/きむたるににせあんし/ふうくに そろゑて みおやせ/又さしきいちへきあちの/又さしきちやくにあちの

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1284(4)

一佐敷金杜に/若清らが/競い遊び 見物/又西の金杜に/又真糸数に おわる

一さしきかなもりに/わかきよらか/けわいあすひ みもん/又にしのかなもりに/又まいとかすに おわる

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1285(5)

一佐敷金杜に/綾手 打ちちへ なよれば/宣の君と 君と/又西の金杜に/又上下の 見る眼

一さしきかなもりに/あやて うちちへ なよれは/せのきみと きみと/又にしのかなもりに/又かみしむの みるめ

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1286(6)

一佐敷金杜に/宣の君は 手摩て/大君しよ しろわめ/又西の金杜に/宣の君は 手摩て/又宣の君や 誰が/大君や 何れが

一さしきかなもりに/せのきみは てつて/大きみしよ しろわめ/又にしのかなもりに/せのきみは てつて/又せのきみや たるか/大きみや つれか

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1287(7)

一佐敷から もたい人/来ちゑ 八千代 白雪は/おぎやか思いに みおやせ/根く国から もたい人/又おれづむが/若夏が 立てば

一さしきから もたいきよ/きちゑ やちよ しらよきやは/おきやかもいに みおやせ/ねく国から もたいきよ/又おれつむか/わかなつか たては

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1288(8)

一佐敷金杜や/雨漏らん金杜/佐敷よ 攻めらてゝ 為ちやる/又西の金杜に

一さしきかなもりや/あめもらんかなもり/さしきよ せめらてゝ しちやる/又にしのかなもりに

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1289(9)

一佐敷苗代に/あまみやから 孵で水/孵で水よ/おぎやか思いに みおやせ/又もたい苗代に

一さしきなわしろに/あまみやから すてみつ/すてみつよ/おきやかもいに みおやせ/又もたいなわしろに

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1290(10)

一佐敷苗代に/孵で物 真物 真玉の/取り揚がる みしや子/又もたい苗代に

一さしきなわしるに/すて物 ま物 またまの/とりやかる みしやこ/又もたいなわしろに

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1291(11)

一佐敷門口に/鬼鷲の/羽撃ちする 見物/又西の門口に

一さしきちやうくちに/おにわしの/はねうちする みもん/又にしのちやうくちに

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1292(12)

一苗代の庭に/月代は 手摩て/月代す/成さい人思い/守りよわめ/又今日の良かる日に

一なわしろのみやに/月しろは てつて/つきしろす/なさいきよもい/まふりよわめ/又けよのよかるひに

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1293(13)

一与那嶺の大親/竹つほに 造ておちへ/按司添いぎや/島討ちする 矢柄/又苗代の大親/竹

一よなみねの大や/たけつほに つくておちへ/あんしおそいきや/しまうちする いやころ/又なわしろの大や/たけ

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1294(14)

一与那嶺の大親/綾鵯 遊ばちゑ/今からど/いみ気や 勝る/又苗代の大親/綾

一よなみねの大や/あやひよとり あそはちゑ/いみやからと/いみきや まさる/又なわしろの大や/あや

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1295(15)

一佐敷寄り上げの杜に/島寄せる鼓の有る按司/又根国寄り上げの杜に

一さしきよりやけのもりに/しまよせるつゝみのあるあち/又ね国よりやけのもりに

中城おもろの節[edit]

19-1296(16)

一佐敷意地気按司の/名揚り聞ゑてだ/又佐敷大国按司の/又てだきしのこるめ

一さしきいちゑきあちの/なかりきこゑてた/又さしきちや国あちの/又てたきしのこるめ

きこへきみがなしの節[edit]

19-1297(17)

一佐敷苗代に/精 有らば/気比べ 為らに/又もたい苗代に/又去れ ころ達/精 有らば/又退け ころ達/精 有らば/気比べ 為らに

一さしきなわしろに/せ あらは/けおくなへ せらに/又もたいなわしろに/又され ころた/せ あらは/又とけ ころた/せ あらは/けおくなへ せらに

うらおそいおもろの節[edit]

19-1298(18)

一佐敷から/御捧げや 上て/八千代 世のつほに/御み神酒 ぬき上げは/後勝る拍子/打ちちゑ みおやせ/又根国から/御捧げや 上て/八千代 世のつほに/御神酒

一さしきから/みさゝけや のほて/やちよ 世のつほに/御みしやく ぬきやけは/のちまさるひやし/うちちゑ みおやせ/又ね国から/みさゝけや のほて/やちよ 世のつほに/みしやこ

うらおそいのおやのろが節[edit]

19-1299(19)

一佐敷意地気按司/正の意地気按司や/親 撓て/島討ち 勝りよわちへ/又佐敷大国按司

一さしきいちへきあち/まさのいちゑきあちや/おや しなて/しまうち まさりよわちへ/又さしきちやくにあち

うらおそいおもろの節[edit]

19-1300(20)

一知名 まけな/如何ある衆生 居てが/なみしぐ いぐまちへ 漕がせ/又知名 まけな/如何ある厳子 居て

一ちにや まけな/いきやあるすちや おてか/なみしく いくまちへ こかせ/又ちにや まけな/いきやあるいつこ おて

うらおそいおもろの節[edit]

19-1301(21)

一久手堅の若人/若清らが/世果報 みおやせ/又久手堅のまちやり/又今日の良かる日に

一くてけんのわかきよ/わかきよらか/世かほう みおやせ/又くてけんのまちやり/又けよのよかるひに

うらおそいおもろの節[edit]

19-1302(22)

一知念杜ぐすく/此の世 勝りよわちへ/島 かねて/按司添いに みおやせ/又大国杜ぐすく

一ちゑねんもりくすく/この世 まさりよわちへ/しま かねて/あんしおそいに みおやせ/又ちやくにもりくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1303(23)

一知念杜ぐすく/国局/按司添いに みおやせ/又大国杜ぐすく/又今日の良かる日に

一ちゑねんもりくすく/くにつほに/あちおそいに みおやせ/又ちやくにもりくすく/又けおのよかるひに

うらおそいおもろの節[edit]

19-1304(24)

一知念杜ぐすく/上て 行けば/てだが 誇りよわちへ/又大国杜ぐすく

一ちゑねんもりくすく/のほて いけは/てたか ほこりよわちへ/又ちやくにもりくすく

きこへたうやまが節[edit]

19-1305(25)

一知念杜ぐすく/神 衆生 揃て/君 栄せ/又大国杜ぐすく/又今日の良かる日に

一ちゑねんもりくすく/かみ すちや そろて/きみ はやせ/又ちやくにもりくすく/又けおのよかるひに

うちいではおへやふその大やが節[edit]

19-1306(26)

一知念杜ぐすく 清らや/上下の世添いの御殿/又大国杜ぐすく/又黒金の子等が

一ちゑねんもりくすく きよらや/かみ下のよそいおどの/又ちやくにもりくすく/又くろかねのこらか

うちいではおやふその大やが節[edit]

19-1307(27)

一知念杜ぐすく/報国寄る杜ぐすく/又大国杜ぐすく/又今日の良かる日に

一ちゑねんもりくすく/ふうくによるもりくすく/又ちやくにもりくすく/又けおのよかるひに

くだかあつめなにくせきよらがけおのうちが節[edit]

19-1308(28)

一知念杜ぐすく/月代は 手摩て/成さい人が/いきよいど 待ち居る/又大国杜ぐすく

一ちゑねんもりくすく/つきしろは てつて/なさいきよか/いきよいと まちよる/又ちやくにもりくすく

かつれんはてだむかてぢやうあけてが節[edit]

19-1309(29)

一知念杜 大国杜/浦鳴響む按司加那志 見ちやる/又三郎子が 嬉し子が/又川平に 前平に

一ちゑねんもり ちやくにもり/うらとよむあちかなし みちやる/又さふろかか うれしこか/又かわひらに まいひらに

きこへたうやまが節[edit]

19-1310(30)

一知念杜ぐすく/唐の船/こゝら寄るぐすく/又大国杜ぐすく

一ちゑねんもりくすく/たうのふね/こゝらよるくすく/又ちやくにもりくすく

たいらこしらいが節[edit]

19-1311(31)

一知念杜ぐすく/あまみきよが/宣立て初めのぐすく/又大国杜ぐすく

一ちゑねんもりくすく/あまみきよか/のたてはちめのくすく/又ちやくにもりくすく

たいらこしらいが節[edit]

19-1312(32)

一知念杜ぐすく/神降れ初めのぐすく/又大国杜ぐすく/神が降れ初めのぐすく

一ちゑねんもりくすく/かみおれはちめのくすく/又ちやくにもりくすく/かみかおれはちめのくすく

うらそいおもろの節[edit]

19-1313(33)

一知念杜ぐすく/見物国ひちゑり/おわもりに みおやせ/又大国杜ぐすく

一ちゑねんもりくすく/みもんくにひちゑり/おわもりに みおやせ/又ちやくにもりくすく

うちいではほいのとりの節[edit]

19-1314(34)

一知念集め庭に/世う 寄り満ちへれ/又安座間集め庭に/又今日の良かる日に

一ちゑねんあつめなに/世う よりみちへれ/又あさまあつめなに/又けおのよかるひに

うちいではせぢとよみせいくさが節[edit]

19-1315(35)

一大島押笠が/鳴響み居る上里杜 見ちやる/又たきり押笠が/又にるや照り揚がり/又かなや望月/又此れる 浦原/又此れる あきみよ/鳴響み居る上里

一たしまおしかさか/とよみよるおゑさともり みちやる/又たきりおしかさか/又にるやてりやかり/又かなやもちつき/又これる うらはる/又これる あきみよ/とよみよるおゑさと

おもろねやがりしまたづなが節[edit]

19-1316(36)

一久高集め庭に/差羽よらふさよ/知念が 見遣り欲しや/又肝は 行きよれどむ/肝は 行きよれどむ

一くたかあつめなに/さはねよらふさよ/ちゑねんか みやりほしや/又きむは いきよれとむ/あよは いきよれとむ

ねいしまいしが節[edit]

19-1317(37)

一久高集め庭に/奇せ清らが/京の内/新崎 やぐめ/又外間集め庭に/又鈴走り 突き開けて

一くたかあつめなに/くせきよらか/けおのうち/あらさき やくめ/又ほかまあつめなに/又すつはしり つきあけて

うらおそいおもろの節[edit]

19-1318(38)

一聞ゑ玻名城/板門 もちろかちへ/君が京の内る/かに ある/又鳴響む玻名城

一きこゑはなくすく/いちやちや もちろかちへ/きみかけおのうちる/かに ある/又とよむはなくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1319(39)

一聞ゑ玻名城/差笠は 手摩て/君が金内る/かに ある/又鳴響む玻名城

一きこゑはなくすく/さすかさは てつて/きみか金うちる/かに ある/又とよむはなくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1320(40)

一聞ゑ玻名城/吾が成さす 似せたれ/だに 想ぜて/報為 勝りよわちへ/又鳴響む玻名城

一きこゑはなくすく/あかなさす にせたれ/たに さうせて/ふため まさりよわちへ/又とよむはなくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1321(41)

一聞ゑ玻名城/煽り 三〔つ〕 立てゝ/吾が成さす/島の主 似せたれ/又鳴響む玻名城

一きこゑはなくすく/あおり み〔つ〕 たてゝ/あかなさす/しまのぬし にせたれ/又とよむはなくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1322(42)

一聞ゑ玻名城/煽り数 立てゝ/神座の京の内る/かに ある/又鳴響む玻名城

一きこゑはなくすく/あおりかす たてゝ/かくらのけおのうちる/かに ある/又とよむはなくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1323(43)

一聞ゑ差笠が/鳴響む差笠が/綾鷲 寄せる 玻名城/又聞ゑ玻名城/鳴響む玻名城/又差笠が/君の按司の 金鳥/又屋富祖ころがま/ころがまに 取らしよわ

一きこゑさすかさか/とよむさすかさか/あやわし よせる はなくすく/又きこゑはなくすく/とよむはなくすく/又さすかさか/きみのあんしの かねとり/又やふそころかま/ころかまに とらしよわ

うらおそいおもろの節[edit]

19-1324(44)

一聞ゑ玻名城/鼓 おわもりや/国鳴響み/又鳴響む玻名城

一きこゑはなくすく/つゝみ おわもりや/くにとよみ/又とよむはなくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1325(45)

一聞ゑ玻名城/鳴響む玻名城/鼓の按司 国鳴響み/又玉とりに 在つる/うらうし 直ちへ

一きこゑはなくすく/とよむはなくすく/つゝみのあち 国とよみ/又たまとりに あつる/うらうし なおちへ

うらおそいおもろの節[edit]

19-1326(46)

一聞ゑ玻名城/百倉 引き連れる/御倉 げらへ/又鳴響む玻名城

一きこゑはなくすく/もゝくら ひきつれる/御くら けらへ/又とよむはなくすく

うらおそいおもろの節[edit]

19-1327(47)

一玻名城たゞな子す/かてく按司に 思われゝ/又下の世の主す/真人 輝しよわれ

一はなくすくたゝなしす/かてくあちに おもわれゝ/又しもの世のぬしす/ま人 きやかしよわれ

なかぐすくおもろの節[edit]

19-1328(48)

一沖縄玻名城ちやらの/実にや へらい欲しや/又沖縄玻名城てだ

一おきなわはなくすくちやらの/けにや へらいほしや/又おきなわはなくすくてた

ちやうやうへまのしの節[edit]

19-1329(49)

一玉とりに 在つる/麗し花 折ちへ/浦鳴響むまちらす 付けれ/又せるましに 在つる

一たまとりに あつる/うるわしはな おちへ/うらとよむまちらす つけれ/又せるましに あつる

たづなが節[edit]

19-1330(50)

一玻名城 おわる/御愛しのてだの/苦世 甘世 為す てだ/又国の根に おわる/又人の浦の苦世/我が浦の甘世/苦世 甘世 為す てだ

一はなくすく おわる/みかなしのてたの/にかよう あまよ なす てた/又くにのねに おわる/又人のうらのにきやよ/わかうらのあまよ/にきやよ あまよ なす てた