おもろさうし/第廿二

From Wikisource
Jump to navigation Jump to search

A request has been made to delete this page.
Reasons for this have been given at Wikisource:Proposed deletions. If you disagree, please respond there.

おもろさうし
第廿二
みおやたいりおもろ御さうし

みおやだいりおもろ御さうし 第二十二

稲の穂祭之時おもろ  

あおりやへが節[edit]

22-1508(1)

一あまみきよが 御差ししよ/此の大島 降れたれ/十百末/おぎやか思いす ちよわれ/又穂花 取て ぬき上げは/塵錆は 付けるな

一あまみきよか うさししよ/この大しま おれたれ/ともゝすへ/おきやかもいす ちよわれ/又ほうはな とて ぬきあけは/ちりさひは つけるな

おしかけ節[edit]

22-1509(2)

一聞得大君ぎや/京の内ののろ/肝 揃て/神座拍子 みおやせ/又鳴響む精高子が/もちろ内ののろ

一きこゑ大きみきや/けおのうちののろ/あよ そろて/かくらひやし みおやせ/又とよむせたかこか/もちろうちののろ

うらおそいおもろの節[edit]

22-1510(3)

一宣ん君が 降れ立ち/君良しが 降れ立ち/百度拍子/打ち揚がる成さい人/又吾が成さい人 嘆くな/宣ん君しよ 知りよわめ

一せんきみか おれたち/きみよしか おれたち/もゝとひやし/うちあかるなさいきよ/又あかなさいきよ なけくな/せんきみしよ しりよわめ

くにおそいきみの節[edit]

22-1511(4)

一雪げらへ 雪の 珍らしや/世果報 真果報 みおやせ/又黍げらへ 黍の 珍らしや

一よきけらへ よきの めつらしや/世かほう まかほう みおやせ/又きみけらへ きみの めつらしや

おちいではいとかずおもろの節[edit]

22-1512(5)

一君加那志 夏 立てば/命神 このみしよわちへ/又我が大里 夏 立てば

一きみかなし なつ たては/ゑのちかみ このみしよわちへ/又わか大さと なつ たては

うちいではいつかなつたゝしよが節[edit]

22-1513(6)

一煽りやへと 差笠と/世添うせぢ 持つ 貴み/又貴み人と 浮雲と

一あおりやへと さすかさと/よそうせち もつ たゝみ/又たゝみきよと おきくもと

なつたてばが節[edit]

22-1514(7)

一差笠は/精の拍子/珍ら拍子 みおやせ/又君の按司に

一さすかさは/すゑのひやし/めつらひやし みおやせ/又きみのあちに

うらおそい節[edit]

22-1515(8)

一玉の御孵で加那志/げらへ御孵で加那志/神 衆生 揃て/誇りよわちへ/又奥武の嶽大主/なです杜大主

一たまのみそてかなし/けらへみそてかなし/かみ すちや そるて/ほこりよわちへ/又あうのたけ大ぬし/なてすもり大ぬし

のろあがりの節[edit]

22-1516(9)

一あまみや 初またる/首里杜ぐすく/此れど 金内 譬わる/又しねり〔や〕 初またる/真玉杜ぐすく

一あまみや はちまたる/しよりもりくすく/これと こかねうち たとわる/又しねり〔や〕 はちまたる/またまもりくすく


稲の大祭之時おもろ

かぐら節[edit]

22-1517(10)

一聞得大君ぎや/鳴響む精高子が/さしふ 降れ直ちへ/又おぼつ吉日 取りよわちへ/大島きら 直ちへ

一きこゑ大きみきや/とよむせたかこか/さしふ おれなおちへ/又おほつゑか とりよわちへ/たしまきら なおちへ

おしかけ節[edit]

22-1518(11)

一聞得大君ぎや/京の内の もちよろ/御島 祈て/按司添いに みおやせ/又鳴響む精高子が/もちろ内の もちよろ

一きこゑ大きみきや/けおのうちの もちよろ/みしま いのて/あんしおそいに みおやせ/又とよむせたかこか/もちろうちの もちよろ

おしかけ節[edit]

22-1519(12)

一聞ゑ煽りやへや/せぢ 勝て 降れわちへ/世持つせぢ/按司添いに みおやせ/又鳴響む国守りや/気 添わて 降れわちへ

一きこゑあおりやへや/せち まさて おれわちへ/世もつせち/あちおそいに みおやせ/又とよむくにもりや/けお そわて おれわちへ

[edit]

22-1520(13)

一聞ゑ差笠が/百度 ちよわれ/按司添い後勝り/百按司 直しよわれ/又鳴響む差笠が

一きこゑさすかさか/もゝと ちよわれ/あちおそいのちまさり/もゝあち なおしよわれ/又とよむさすかさか

あふりやへが節[edit]

22-1521(14)

一聞得大君ぎや/おぼつ吉日 取りよわちへ/京の内は 押し開けて/按司添いしよ/十百末 ちよわれ/又鳴響む精高子が

一きこゑ大きみきや/おほつゑか とりよわちへ/けおのうちは おしあけて/あちおそいしよ/ともゝすへ ちよわれ/又とよむせたかこか

あふりやへが節[edit]

22-1522(15)

一首里大君ぎや/鳴響む国添いぎや/国 栄て ちよわれ/又京の内に 戻て/もちろ内に 戻て

一しより大きみきや/とよむくにおそいきや/国 ふさて ちよわれ/又けおのうちに もとて/もちろうちに もとて

てがねまる節[edit]

22-1523(16)

一聞得大君が/おぼつせぢ 降るちへ/按司添いよ 見守て/君々や おぼつより 帰ら/又鳴響む精高子が/神座せぢ 降るちへ

一きこゑ大きみか/おほつせち おるちへ/あんしおそいよ みまふて/きみや おほつより かへら/又とよむせたかこか/かくらせち おるちへ

おしかけ節[edit]

22-1524(17)

一にるや鳴響む大主/かなや鳴響む若主/にるやせぢ みおやせ/又大島 添う 按司添い/たきより 添う 按司添い

一にるやとよむ大ぬし/かなやとよむわかぬし/にるやせち みおやせ/又たしま おそう あちおそい/たきより おそう あちおそい

かみしも天とよみが節[edit]

22-1525(18)

一聞ゑ君加那志/鳴響む君加那志/此れど だにの 真てだやれ/〔又〕聞ゑ按司添いや/鳴響む按司添いや/又筑紫ちやら 佩きよわちへ/治金丸 差しよわちへ

一きこゑきみかなし/とよむきみかなし/これと たにの まてたやれ/〔又〕きこゑあんしおそいや/とよむあちおそいや/又つくしちやら はきよわちへ/てかねまる さしよわちへ

きみがなし節[edit]

22-1526(19)

一聞ゑ君加那志/君が 祈ろ杜に ちよわちへ/島が 老ゑ ちよわれ/又鳴響む君加那志

一きこゑきみかなし/きみか いのろもりに ちよわちへ/しまか おゑ ちよわれ/又とよむきみかなし

やまきおもろの節[edit]

22-1527(20)

一百度踏み揚がりや/けさよりや 勝り/百ぢやらの 主てだ/成りよわちへ/又君の踏み揚がりや

一もゝとふみあかりや/けさよりや まさり/もゝちやらの ぬしてた/なりよわちへ/又きみのふみあかりや

同節[edit]

22-1528(21)

一百度踏み揚がりや/道 開けて/金比屋武 手摩て/又君の踏み揚がりや

一もゝとふみあかりや/みち あけて/かなひやふ てつて/又きみのふみあかりや


知念久高行幸之御時おもろ

首里御城御打立之御時

むかしはじめからの節[edit]

22-1529(22)

一昔初まりや/てだこ大主や/清らや 照りよわれ/又せのみ初まりや

一むかしはちまりや/てたこ大ぬしや/きよらや てりよわれ/又せのみはちまりや

与那原村稲福親雲上宿にて御規式の御時

かぐら節[edit]

22-1530(23)

一聞得大君ぎや/鳴響む精高子が/さしふ 降れ直ちへ/又おぼつ吉日 取りよわちへ/大島きら 直ちへ

一きこゑ大きみきや/とよむせたかこか/さしふ おれなおちへ/又おほつゑか とりよわちへ/たしまきら なおちへ

右同所御打立前に

大ざとのげすのおもいあんじぎや節[edit]

22-1531(24)

一与那覇浜 聞得大君/八千代 掛けて 鳴響まさに/又あきり口 鳴響む大君/八千代

一よなははま きこゑ大きみ/やちよ かけて とよまさに/又あきりくち とよむ大きみ/やちよ

佐敷寄り上げ杜にて(佐敷よりやけもりにて)

うらそいのおやのろが節[edit]

22-1532(25)

一佐敷寄り上げの杜に/島寄せる鼓の有る按司/又根国寄り上げの杜に

一さしきよりやけのもりに/しまよせるつゝみのあるあち/又ね国よりやけのもりに

斎場御嶽にて(さやは御たけにて)

きこゑきみおそいが節[edit]

22-1533(26)

一聞得大君ぎや/斎場嶽 降れわちへ/うらと/御想ぜ様に ちよわれ/又鳴響む精高子が/寄り満ちへは 降れわちへ

一きこゑ大きみきや/さやはたけ おれわちへ/うらと/おさうせやに ちよわれ/又とよむせたかこか/よりみちへは おれわちへ

斎場御桟敷にて(さやは御桟敷にて)

[edit]

22-1534(27)

一斎場嶽 御嶽/ゑよ ゑ やれ 押せ/又そこにや嶽 御嶽

一さやはたけ みちやけ/ゑよ ゑ やれ おせ/又そこにやたけ みちやけ

御船に被召候御時

[edit]

22-1535(28)

一押し出たる ゑ/司子 ゑ/吾は 祈て 走り居る ゑ/又走り出ぢへたる ゑ

一おしちへたる ゑ/つかさこ ゑ/あは いのて はりよる ゑ/又はりいちへたる ゑ

御船帆上ゲの御時

はつにしやが節[edit]

22-1536(29)

一東方の大主/ややの真帆/押し揚げて 走りやせ/又てだが穴の大主

一あかるいの大ぬし/ややのまほう/おしあけて はりやせ/又てたかあなの大ぬし

久高渡中にて(久高となかにて)

しまうちあふりやへが節[edit]

22-1537(30)

一東方の司子/吾が崇べ司子/海 凪らちへ/風 直ちへ 使い/又てだが穴の司子

一あかるいのつかさこ/あかたかへつかさこ/うみ とらちへ/かせ なおちへ つかい/又てたかあなのつかさこ

久高外間御殿にて御規式の御時(久高外間御とのにて御規式の御時)

ねいしまいしが節[edit]

22-1538(31)

一久高集め庭に/奇せ清らが/京の内/新崎の やぐめ/又外間集め庭に

一くたかあつめなに/くせきよらか/けおのうち/あらさきの やくめ/又ほかまあつめなに

知念大川にて御規式の御時

やゝのきくたけが節[edit]

22-1539(32)

一聞得大君ぎや/知念杜ぐすく/掛けて 栄よわちへ/神座 在つる/雲子石 手摩て/おぎやか思いに みおやせ/又鳴響む精高子が

一きこゑ大きみきや/ちねんもりくすく/かけて ふさよわちへ/かくら あつる/くもこいし てつて/おきやかもいに みおやせ/又とよむせたかこか

玉城やふさつの御威部の御前にて(玉城やふさつの御いへの御前にて)

うちいぢへがせぢとよみせいくさが節[edit]

22-1540(33)

一大島押笠が/鳴響み居ろ上里杜 見ちやる/又たきより押笠が

一たしまおしかさか/とよみよろおゑさともり みちやる/又たきよりおしかさか

玉城天頂にて(玉城あまつゝにて)

かつれんはいきやるかつれんが節[edit]

22-1541(34)

一天頂は 雨たもす 漏らね/天頂は あいつまは いきやかせ/又天頂は くれたもす 漏らね

一あまつゝは あめたもす むらね/あまつゝは あいつまは いきやかせ/又あまつゝは くれたもす むらね

暁のおもろ

おちいではふゑのとりの節[edit]

22-1542(35)

一東方の/明けもどろ 立てば/十走り 八走り/押し開けわちへ/見物 清らや/又てだが穴の/明けもどろ 立てば

一あかるいの/あけもとろ たては/とはしり やはしり/おしあけわちへ/みもん きよらや/又てたかあなの/あけもとろ たては

きゝみあぐむが節[edit]

22-1543(36)

一東方の大主/日の鳥の 佳声の/うらと 聞ゝ 清らや/又てだが穴の大主

一あかるいの大ぬし/ふゑのとりの かこゑの/うらと きゝ きよらや/又てたかあなの大ぬし

ひやくなうらしろが節[edit]

22-1544(37)

一聞得大君ぎや/おれづむが 立てば/斎場下走り/押し開けれよ 門の主/玉簾/巻き上げれよ 孵で者/又鳴響む精高子が/若夏が 立てば

一きこゑ大きみきや/おれつむか たては/さやはしもはしり/おしあけれよ ちやうのしよ/たますたれ/まきあけれよ すてもの/又とよむせたかこか/わかなつか たては

御帰城の御時 附路次上下は知念佐敷おもろ

あけしのが節[edit]

22-1545(38)

一神加那志 神清ら/煽る 漕がせや もどる/雲は 来遣り/金島 走ちへおわちへ/又のろ加那志 のろ清ら

一かみかなし かみきよら/あおる こかせや もとる/くもは きやり/こかねしま はちへおわちへ/又のろかなし のろきよら

雨乞の時おもろ

[edit]

22-1546(39)

一やとりこしらいや/めす川の 真清水/乞ゑが おわち/又杜のこしらいや/又みるや轟るきや/又かなや轟るきや/又按司 栄す 鳴り清ら 降るち/又主 栄す なよす 捧げて

一やとりこしらいや/めすかわの まさうす/こゑか おわち/又もりのこしらいや/又みるやとゝるきや/又かなやとゝるきや/又あち はやす なりきよら おるち/又しよ はやす なよす さゝけて

昔神世に百浦添御普請御祝ひの時

おくらつが節[edit]

22-1547(40)

一首里 おわる てだこが/百浦添い げらへて/玉走り 玉遣り戸 見物/又ぐすく おわる てだこが

一しより おわる てたこか/もゝうらおそい けらへて/たまはしり たまやりと みもん/又くすく おわる てたこか

しよりゑとの節[edit]

22-1548(41)

一首里杜ぐすく/中辺清ら御ぐすく/だりじよ 又 上下 鳴響め/又真玉杜ぐすく

一しよりもりくすく/なかゑきよら御くすく/たりしよ また かみ下 とよめ/又またまもりくすく

同節[edit]

22-1549(42)

一首里 おわる てだこが/接ぢやの細工 集ゑて/羽撃ちする小隼 孵ちへ/又ぐすく おわる てだこが

一しより おわる てたこか/はちやのさいく あとゑて/はねうちするこはいふさ すたちへ/又くすく おわる てたこか

唐船すらおるし又御茶飯之時

あかずめづらしやが節[edit]

22-1550(43)

一飽かず珍らしや/出ぢら数/お見守てす 走りやせ/又君の珍らしや

一あかすめつらしや/いちらかす/おみまふてす はりやせ/又きみのめつらしや

祝ひの時(祝ひのとき)

きこへきみがなしみちやるまさりが節[edit]

22-1551(44)

一聞ゑ君加那志/根石 真石の/有らぎやめ ちよわれ/又鳴響む君加那志

一きこゑきみかなし/ねいし まいしの/あらきやめ ちよわれ/又とよむきみかなし

あふりやへが節[edit]

22-1552(45)

一御肝愛しぎや/てだ 神 揃へて/守よわれ/又御顔愛しぎや

一おきもかなしきや/てた かみ そろへて/まふよわれ/又みかうかなしきや

[edit]

22-1553(46)

一こいしのが さしふ殿原よ/島でん 国でん みおやせ/又白木 植ゑて/清ら木 植ゑてから/島でん 国でん みおやせ

一こいしのか さしふとのはらよ/しまてん くにてん みおやせ/又しらけ おゑて/きよらけ おゑてから/しまてん くにてん みおやせ

御冠船之御時おもろ

しよりゑと節[edit]

22-1554(47)

一首里 おわる てだこが/思い子の遊び/なよればの見物

一しより おわる てたこか/おもいくわのあすひ/なよれはのみもん


首里天尚益王加那しの美世に、みおみ事をおがみおもろ御双紙二部書あらため申。壱部は御城に御格護、壱部は言葉間書に調おもろ主取のかたへかくこおよせめされ候。

〇大清康熙四十九年庚寅

七月三日

摂政 越来王子朝奇
三司官 識名親方盛命
幸地親方良象
池城親方安倚
奉行 津嘉山按司朝睦
主取 座間味親雲上景典
津覇親雲上實昌
立津親雲上全明
筆者 伊良皆〔筑登〕之親雲上重休
並里〔筑登〕之親雲上嗣喜
瑞慶田〔筑登〕之親雲上正方
小渡筑登之元敷
嘉数子宗宣
おもろ主取 宜野湾間切大山村 安仁屋親雲上